Beautiful Days
綺麗な涙の雫が服の肩口に落ちた。
着ている服は黒色なのにその涙ははっきりと表面に浮かんだ。
ああ、また泣いているんだ。
自分のせいだってことくらい、わかっている。
もし、もしも。
お前は俺の正体を知らなかったら。
俺はお前の夢を知らなかったら。
お前は俺に抱きついて、服を皺だらけにしたり、
俺はその震える体の背中にまで手を回せるんだろうか。
「なぁ…」
「………」
隣人さんは俺の通行を邪魔するように俺の肩に頭を置いていた。
まだ出会ったばかりの自分なら言えただろう。
『邪魔だ』
と、そして女だろうが容赦なく突き飛ばすだろう。
だけど今は誰かさんのせいでちょっと弱くなったから言えないし、突き飛ばせもしない。
だからと言って、「泣くなよ」とか甘い台詞言えるわけでもない。
「吉田ぁ」
お前ならきっとわかるだろ、ってこの俺に期待させてんだからお前はやっぱりたいした女だよ。
「もっと泣けよ」
きっとわかるだろ?
これが俺なりのお前への慰めだってこと。