bent a love story

もう自分を偽らなくていいはずなのに。
偽らなくていいのになんだろうか、このどろどろとした汚れた感情は。

接客業なのだから彼女が誰かに微笑むことは当たり前なはずだ。

なのに胸がちくりちくりと痛む。

それとも胸じゃなくてあの日に刺された傷がまだ痛むのだろうか。
もう四年も経つというのに。


彼女の微笑みは誰でも癒す。
闇に墜ちていた頃の自分もどれだけ救われたことだろう。

こうして恋人として一緒に過ごせることが未だに夢ではないだろうかと時折思う。

だからだろうか。

自分だけに笑えばいい。
自分だけ癒せばいい。

自分しかその目に映らなくなればいい。

ああ、愛のために狂ってしまうのはいいかもしれない。

誰の命も奪うことはない。
誰も恨まなくていい。


―なんて考えてしまうのは。


ああ、でもそうしたら彼女は笑わなくなってしまうかもしれない。
それはいけないことだ。


「…違った意味での微笑みなら手に入りそうだけどな」


いつか実行してしまいそうな気がする自分に苦笑して、コーヒーをカップの中へと静かに注いだ―