今、目の前にいる女の唇は別に口紅など塗って飾られず、傷ついた唇を癒すためにたまにリップクリームを塗るくらいだ。

試しに自分の指でそこに触れてみた。
意外とふんわりと柔らかく触り心地がよかったからついつついてしまった。
案の定、女から怒られてしまった。俺が何やったってこの女は結局怒るだろうから気にはしなかった。

嫌がる表情がむしろ俺を欲情させる。
こいつ、いじめられんのがもしかして好きなんじゃないかとか考えることがある。

「吉田、舐めたいの?」
俺が笑ってそう言うとあいつは首を振った。何か言えば俺の指を噛んでしまう恐れがあるからだ。
その様子に俺の喉奥からククッと黒い笑い声が出た。

「噛んでもいいぜ?」

女は怒りの表情から完全に怯えへと変わった。
本当に飽きない女だ。ほんとは干渉したい癖に。

「舐めろよ。」
「……嫌。」
「俺がいいって言ってんだから遠慮するなよ」
「してません」
「じゃ、噛む?」
「それも嫌」
…ほんと素直じゃねぇな。

怯えの色を見せていた瞳が憎悪へと変わる。
この憎悪の瞳が俺には煽っているように見えた。
せっかくだからその誘い受けてやるよ。

「…それとも指以外のところが舐めたいとか?」
「…ど、どこよ?」
焦る吉川の手を取り、俺の下半身の中心を布越しに触れさせる。
すると吉川は顔を真っ赤にしてそして最低!と罵る意味を込めて俺の指を噛んだ。
噛んだ傷跡から血が微かに流れる。
「吉田、いてえんだけど。」
「…自業自得よ!なんだったら全部の指、噛んでやるわよ!?」
「…ふぅん」

俺の表情を見た吉川は俺から距離を置こうとしたが当然俺が逃がすはずもなく、女の細い腰を自分の元へと引き寄せた。

「手当てしろよ」
俺は噛まれた指を彼女の口元に当てた。
女は俺の目線から恐怖を感じたのかおそるおそる口を開けて、傷跡に舌を這わせる。
染みないの?と上目遣いに聞いてくる姿が妙に艶やかでその目を汚したいと心底感じた。
続けろと言えば吉川はそれに従い、また舌を傷跡に這わせる。

マジ、犯したい。

「吉田、そんなに舐めたかったの?」
吉川は違うと首を横に振る。
俺はククッ…とこいつには聞こえない程度に音を立てて笑う。
「そんなに欲しいなら残りの指も舐めてもいいぜ?」
俺の言葉に吉川は頬を真っ赤にしてまた噛もうとする。
「噛んでもいいけど、そうしたら他の部分を舐めてもらうぜ?」
俺のからかう声(ほとんど本気だけど)に吉川の目元に涙が溜まる。

あーあ、ほんとたまんねぇ。俺は微笑んで女の口内の奥に指を二本に増やして突っ込む。

「…んっ」
吉川は苦しいと俺の手首を掴む。
少し指を抜けば、吉川は無意識なのか舌を動かして俺の指を舐める。
その無意識さに俺は興奮する。

しばらく舐めさせて、ゆっくり口内から離す。そして今度は吉川の唇に俺の舌が這う。

無意識にあいつの口が開けば、その隙を俺は見逃すはずもなく舌を入れた。
逃げ惑うあいつの舌を落ち着いてかつ確実に捕らえる。
「んっ…ん…く、ろ…んんっ…」
吉川の頬に添えた俺の手から感じる温かさが心地よい。
あいつの唇を味わった俺はあいつを抱き締める。
その様子に吉川は戸惑いを隠せない。

「黒崎…?…っ!」
俺はあいつの胸元を噛んだ。噛んだ跡を俺の舌が這う。吉川の体が震える。
俺はあいつの下着のホックを布越しから外す。

「…黒崎?」

あいつの恐怖に染まった声は俺を快楽へと導く。



Black a cage



「吉川、やっぱりここ舐めて。」


俺があいつの手を導いた場所はやけに鼓動が速かった。