間違っている、と言われれば間違っていると思う。
こんな結ばれ方、望んでなかった。

だけどどこまでも臆病だから。
卑怯だから。

なのにどうして君は俺を受け入れてくれるの?

だからもっとひどいことしたくなるじゃない―



「何、考えてる」

修二の冷たい目が俺を見ていた。
そうだ、桐谷修二という男は自分と同じく冷めていている。
だけど自分と違って器用にあの気持ち悪い空間に溶け込んでいた。

「何、って」
「野ブタのことだよ」

修二とはいえ、自分以外から彼女の名前を聞きたくなかった。

「言ったでしょ?俺は野ブタが好きでたまんないの、野ブタも俺のこと好きでいてくれてるの」
「…あんなの結ばれたって言わない」

そのとおりだ。
あんな結ばれ方なんてない。

「できたらどうするんだ?ちゃんと責任とれるのか?自分のことも―」

「うるさい!」

俺が怒鳴って修二の言葉を途切れさせると修二は無言になった。

「それは修二だって同じでしょ!?まり子ちゃんがいるのに野ブタに中途半端に優しくして!
 野ブタがそれでどれだけ傷ついているか、知ってるの!?」
「…っ…」

「見てられない。どんなに罵られたっていい。俺は野ブタを自分のものにしたい。
 修二、お前からも名前聞いただけで腹が立つ」
「彰…」
「そんなの、欲張りで、汚いことなんて…わかりきってるのに…」

俺は修二の肩に頭を置いた。
涙が溢れてくる。

「だけど、俺は…」
「いい」

俺の本音をこれ以上聞きたくない、と修二はただ黙って自分の肩を俺に貸す。

どうして、こいつも、野ブタも、こんなに。

優しいんだろう。


「だけど、彰。ひとつだけ約束してくれ」
「な、に…」
「避妊だけはしろよ」
「……無理かも」
「なんで」
「だってできたらできたで野ブタを俺をものにできて、そしてあの暗い家庭から救ってやれる」
「……そうか」
「でも」
「ん?」
「責任能力がないのはまだだから、できるだけ我慢してみる」
「…ああ、そうしてくれ」
「修二」
「なんだよ」

「ありがとう」