これが正しいことだなんて言われたら間違いだと思う。
狂っている、と言われば否定できない。
なのに、こんなにも幸せなんて。
許せるはずのない罪を犯したというのに。
どうして、目の前の彼女は笑っている?
嬉しいか?
自分を無理矢理犯して、恋人にまで勝手にさせた、何もかも勝手な男の子を産むなど。
俺には生まれてくる子を愛してあげられる自信がない。
だから産むのは止めて欲しい、と言った。
だけど彼女は真っ直ぐな瞳を向けて微笑んで言った。
「幸せになれるよ」
ああ、彼女がそう言うのならそうなのだろう。
「彰」
「…なんだっちゃ」
「殴らせろ」
修二くんは俺の回答も聞かず、俺が振り向けばすぐに俺の頬を殴った。
俺の体は派手に音を立てて壁にぶつかった。
「責任取れよ」
「……」
「本当に好きなんだろ?野ブタだってお前が好きなんだ。じゃなきゃ、あんな現実受け止められない」
「…わかってるけど」
「今頃責任放棄したら俺、お前のこと一生軽蔑する」
「……」
「許されると思う?」
俺が下を向いたままにそう呟くと修二くんの冷めた笑い声が聞こえた。
「今頃聞くか。言っただろ、許されたか許されてないかは野ブタを見ればわかる」
「……野ブタ」
修二くんが屋上の方に顔を見上げる。
そこには彼女が立っていた。
「彰」
俺はその声に吸い込まれるように自然と階段を上った。
「私、産むよ」
「野ブタは本当にそれでいいの…?」
ああ、そう仕向けたのは自分なのに。
こんなこと聞くなんて。
「いいんだよ」
その一言で全てが報われる気がした。
だけど俺はこの罪を忘れちゃいけない。
彼女を幸せにしたい。
正面から向き合いたい。
だから罪をつぐなうために―
今は彼女のために笑おう。