百合-lilies-


夢なら愛したままで―

『会うのが最後だから』

そう、彼に言われた瞬間、真実がわかった。
わかった、だけど私の感情は止められなかった。

救いたい、とかそんなのじゃなくて。

ただ愛したかった。

離したくない。

たとえそれが罪であろうとも。

共に堕ちたかった。



「いや、です…」
「…っ…」

彼が息を呑む音が聞こえる。
あのときのように腕を掴めば、彼は振り返る。
だけど今は彼は振り返らない。
振り返ったら…最後。

「最後…ならせめて一度だけでいい。私を…抱いてくれませんか?」
「……っ!!」

叩きつけて欲しい。
あなたの苦しみを何もかも。
私に。

「…これ以上、僕を甘やかさないでください」

彼は振り向かないまま、言う。

「もう、終わりにしたいんです」

彼の嘆く声。
私はそれでも手放さなかった。

「だからです」

「だから、抱いて欲しい。神様は許してくれないと思う。だけど…これだけは抑えられない」

「愛しています、友雄さん」

私は自分の額を彼の背中にこすりつけた。

「……し、おりさん…」

彼が私を呼ぶ。
そして―

「んんっ!」

今度は逆に私の手首が掴まれて強く引き寄せられた。
そして強引に唇が塞がれる。

「ん…はぁっ…んっ…」

彼は何度も角度を変えて口づけてくる。
私もそれを必死に受け止めようとする。

「くる、し…」

彼は強く私を抱きしめる。
私は思わず悲鳴を出す。
だけど彼は力を緩めない。

「……抱いてほしい、って先に誘ってきたのはあなたでしょう?しおりさん…」
「…んっ…」

残酷で冷たい声が私の耳に響く。

「…僕がどれだけあなたを愛しているか知らないでしょう?」
「…んあっ…」

テーブルの上に押し倒されて、服も首元まで上げられる。
着けている下着も除けられ、胸が露になる。

「…一度なんかじゃ済ませない…」
「…っ…」

彼の声は冷たいけれど私の胸の突起を這う舌は温かかった。
その次にスカートと下着共に下ろされた。
彼は露になった私の太腿に口づける。
彼の唇がどこに向かおうとしているのか私はすぐに理解した。

「……はっ…駄目です、汚い…」
「汚くない…ずっと前から…綺麗だ…。白くて、本当に白くて…」
「…やっ…」

彼の綺麗な舌が私の汚れた部分を這う。
ぴちゃ、ぴちゃ、と水音が部屋に響く。

「嬉しい…こんなに求めてくれてるんですね…しおりさん…」
「んあっ…あっ…ああ…」

彼は優しく微笑んで私の濡れた秘部を見つめる。
そして、また舌を中に入れた。

「…あっ…と、もお…さんっ…もう…」
「ええ…僕も欲しい」

彼が微笑むと私も自然と笑みが浮かぶ。
そして私の中に彼が入ってきた。


とても優しいものじゃなかったけれど、だけど私を愛してくれているんだって痛いほど感じる。

「と、もおさん…っ…」
「しおりさん…」

私たちはただお互い律動を繰り返す。
やがて頂点に達しそうになれば彼の動きが止まった。
私は彼の頬に手を伸ばした。

「中に、出してください…」
「…しおりさん…」
「私、待ってますから…最後だ、なんて言わないで…」
「……っ!」
「一度、じゃ済ませないんでしょう…?」

私は笑った。
彼も苦しそうだけど笑ってくれた。

「そうですね、一度じゃ済ませない」



私の体内に温かいものが流れて満たしてくる。
それでも彼は律動を止めなかった。

それでいい。

私は待っているから。

ずっと…。


私の体内を再び温かいものが満たした瞬間、カウンターに飾られた一輪の百合が優しく揺れたように見えた。


百合の花は儚げに痛みは消えない―