聖堂で祈る彼女は女神のようだった。

いや、女神そのものだった。


しかし、“悪魔”の道を選んでしまった自分にはその存在は美しく最も恐ろしい存在でしかない。


「…私の力は…きっと悪魔から与えられた…」


違う。
彼女に与えられた力は彼女の言うとおり、神が与えた力なのだ。
そしてその力は唯一自分への“救い”“罰”となるのだろう。


『私を殺人鬼に変えた人が憎い』


あの母親の言葉は予想外だったがよく思えば自分も殺人鬼に変えられたのだ。

あの親子のせいで。

あの親子がいなかったら。


涙を流す彼女に触れて、自分の元へ引き寄せて、抱きしめられるのに。


「お使いください」


間接的にしか触れることは許されない。

いやいずれこの間接的さえも許されない日は来るだろう。


ハンカチを受け取ろうとした彼女の指先が自分の指先に微かに触れた。

それだけでも感謝しなくては。


“悪魔”と“神”、どちらに感謝すべきかわからないけれど―



最後の安らぎ