1.僕はね
まだ本人が起きている状態で告げる勇気はない。
だけど今は寝ているから言えるんだ。
「千里さん。僕は…あなたが好きです」
2.大好きだよ
「優!」
「うわ!」
「大好き!」
「ええっ!?急にどうしたの!?千里さん」
「なんとなく今、言いたくなったの!」
3.暇だなぁ
「暇だね」
「暇だな」
「…智、マジックでもしてよ」
「やだ」
「ケチ」
「ケチで結構。それよりさ、俺らも恋人同士なんだから他にやることあると思うけど」
「なに?」
「…キスとか」
4.ここでキスして
中津も部活が休みだったから彼も誘って二人で陸上部の練習を見に行った。
佐野も関目も俺と中津の存在のことは気づいていたと思うけど、
俺たちは邪魔したくなかったから手を振ることも声を掛けることもしなかった。
佐野が休憩に入った頃、中津が彼に声を掛けた。
「おーい、佐野ー!」
彼がこちらに向かって顔を見上げた途端、俺の唇が熱くなった。
その光景を目にした佐野は驚愕していた。
そんな彼を見て中津は笑っている。
「練習、頑張れよ!」
「…お前は後で覚悟してろよ」
ちなみに佐野が去った後に俺が中津を殴ったのは言うまでもない。
5.ずっと、ずっと。
別れが近いことは悟っていたけれど。
彼女と別れてしまうならこのまま弱いままでいた方がいいんじゃないかと思うときがある。
だけどそれは彼女の望みじゃないから。
どうせなら彼女が好きな姿になりたい。
そして別れが来たとき、言うんだ。
「俺とずっと一緒にいて欲しい」
6.嘘のような愛を。
彰を表向き応援しているけれど、本当はその姿を見て少しモヤモヤしている。
ある事件をきっかけに一人になった俺を抱き締める彼女を見て黒い考えが思い浮かんだ。
このまま、弱いままでいれば彼女を独占できるんじゃないかと。
ある意味、世界に二人だけだ。
彰は狂う想いもあるだろうけど、だけど本当は。
彼女を独占したかったのは俺の方だったんだ。
7.可愛いから。
「瑞稀」
「なんだよ」
「可愛い」
「ぶっ…な、なんだよ、突然」
「そういうところも可愛い」
「だから、中津…」
「だって可愛いんだからしゃあないだろ」
8.白昼夢
何度夢を見たか。
真っ白な彼女が自分の手によって汚されていく夢を。
今、自分の掌に残ったのは本物の欲望で。
だけど彼女の温もりはなかった。
それをティッシュで拭き取った後、俺はまたベッドに横たわって天井を見上げた。
「男ってつらい生き物なのねーん…」
9.うわごとで君を呼ぶ
「智、こんなところで寝ていると風邪ひくよ」
「んー…」
「…ったく。しょうがないなぁ…」
「…ち、さ、と…」
「…え?」
「……好きだ…」
「……寝言か」
「……私も好きだよ、智」
10.喰べてイイ?
「瑞稀、うまそうなもん食べてんなぁ」
「おう。これな、秋葉さんから奢ってもらったんだー」
「……」
「うまいなぁ。あ、まだ秋葉さんいたと思うから中津も奢ってもらえば?」
「…食べていいですか」
「おい、だから俺のじゃなくて秋葉さんにちゃんと…」
「……お前のことを食べていいですか」
「……へ?」