どうやら、君には依存性があるらしい(彰→信子 修二視点)

「〜〜」

今日も気分上々で鼻歌を隣の男は歌っている。
いつもこんな感じだからいつ気分が悪くて気分が良いかなんて全く分からない。
しかし、ある一人の女子生徒のプロデュースを始めてからはある程度分かってきた。

最近は不機嫌になる回数の方が多い。

なぜなら。

「…最近、小谷さん可愛くなったよな。」
「なにいってんの、お前。小谷さんって元から可愛いんだって。」

所々聞き始める彼女の噂。

女子も男子も少しずつ彼女に惹かれ始めている。

プロデューサーとしても非常に嬉しいことだ。

しかし、隣にいるこの男の不機嫌度は増していく。

おい、誰だ。

つい先日、「あきらめる」って言って休日にまで学校を無理矢理借りて校内放送までしたくせに。

三人で一緒にいるあいつが好きだって言ったくせに相変わらず俺にさえも殺気を送る。


「……おい。」

「…やっぱりそれはそれで腹が立つのよーん。」


あきらめる、あきらめないとか恋の問題じゃない。

ストーカーに近い感情。

だってもうこいつは。



――彼女に依存してるから

+

俺以外見るんじゃねぇ(黒崎→氷柱)

なぁ、そこの貧乏さん。

俺のことが好きなんだろ?


ならどうして俺以外の男と話してんだ?


好きになるのはやめてくれって言ったけど他の男を好きになれとは言ってねぇぞ。


俺のため?


本当に俺のこと好きなら反抗しろよ。

俺に反抗しないお前なんて調子狂うんだよ。


精一杯俺だけ見て立ち向かって来いよ。


+

相当侵食されていると思う、心の奥の奥まで(彰→信子)

どうでもいい世の中が彼女のおかげでキラキラ輝いて見えるようになった。

ただし彼女のいる世界限定だけど。


彼女の持っているペン、彼女の履いている靴、ノート…。
彼女が触れているもの全てが輝いて見える。


彼女に触れられるのが羨ましくてしょうがない。


彼女の脳、心臓…何から全てが羨ましい。


そんなところまで羨ましがるなんて彼女に自分は相当堕ちている。


だってしょうがない。

初めてなんだ。

こんなにも誰かが愛しくなるのは。



+

目が合うと、どうしていいのかわからない(隆子→御村)

私が好きなのは後ろにいる彼で、前にいる“彼”じゃない。

自分の好きな人は誰かっていつも心の中で強く唱えているのにどうしても視線は違う人を見ている。

そしてそういうときに限って、目が合ったりするのだ。


“彼”のことだ。こちらの視線に気づいてわざとタイミングばっちり合わせてきてるんじゃないか。


彼と目を合わせても、“彼”と目を合わせても戸惑う。


ああ、神様。

私は一体誰を見ればいいのですか。



+

好きなのに、どうして傷つけてしまうのか(黒崎→氷柱)

「ねぇ…!」

「お前には関係ないだろ。出て行きたくないんだろ?だったら干渉するな。」

「…っ!」



いい加減わかれよ、この鈍感堅物女。

こんな定番行動、俺だってしたくないんだよ。


ほんとなら怒鳴って、腕を取って、自分の部屋に閉じ込めて、体いっぱいに想いを叩きつけてやりたい。


だけど俺の立場やお前の将来を考えたら出来ないだろ?


だからわかってくれよ。






そうしたらお前を傷つけずに一緒にいれる方法を探さなくて済むのに―



+

アイツなんかに近付くな(優太→希美)

「姉ちゃん、またバイト増やしたの?」

「え?」

「いやだってさ、最近帰り遅いじゃん。栄田さんとも一緒じゃないみたいだし。」

「…えーっと…ね?」


出た。姉の癖。

姉は都合が悪くなると手を振る癖がある。

何か隠し事をしているに違いない。

しかも。


とてつもなく悪い方面のことで。


「ねぇちゃ…。」


姉を問い詰めようとしたところでいきなりドアを叩く音がした。


「は…。」


ドア先の相手に返事をしようとした姉の口を俺は手で塞いだ。


「俺が出る。」


出てみれば予想は当たった。


「あの、希美さんはいらっしゃいますか?」


見た目は優男で明らかに姉を幸せにしてくれそうな好青年オーラが伝わってくる。

しかし、こういう男ほど騙されやすい。

姉なんて最高の獲物だ。


「すいません、姉は留守にしております。」


相手に負けないくらい爽やかな笑顔で嘘を吐く。


「そうですか…ではまた後日改めてお尋ねします。」

「はい。」



また尋ねてきたって無駄だけどな。

こっそり心の中で笑ってやった。


「ちょ、ちょっと優太!なんで…「姉ちゃん。」

俺の真剣な表情に姉は黙り込んだ。


黙り込んだ姉に向かって俺は距離を近づけた。

姉弟とはいえ体は男と女だから、姉といえども俺が近づくと驚愕して後ろに下がろうとした。

俺は姉の腕をしっかり握る。


耳元で囁くように言った。


「彼氏作るときはまず俺を通じてからにしてね。」


+

多分自分は、彼女に心底惚れている(御村→隆子)

最初は本当に応援するつもりだった。

あの二人なら心底お似合いだろう。


二人が少しずつ近づき始めているのを見て、大変微笑ましく思う。


だけど面白くない。


二人だけの世界が?

親友が女に取られることが?


いや違う。


俺が嫉妬心を抱いているのは親友の方にだ。



なぁ早く気づけよ。

お前だって好きなんだろ?


俺があいつに惚れていることに気づく前に自覚してくれ。



じゃないとお前を潰してまでもあいつが欲しくなってしまう。