禁断症状
耐えられない。
一分一秒も彼女が側にいないことが。
授業中、同じクラスなのに自分の席は彼女より前だから後ろが向けない。
休み時間、あくまでもクラスの中では他人のふりをしなきゃいけないから話せない。
放課後、やっと彼女に会える。
腕利きプロデューサーは家庭の用事で颯爽と帰っていった。
明日から連休で家族と久しぶりに旅行に出かけるらしい。
連休?
彼女に三日も会えないじゃないか!
そんなの耐えられない!
そんなとき、携帯に悪魔の囁きが届いた。
「もしもし、おいちゃん?」
『おう、彰。わりぃんだけどな、町内の皆さんとさ、連休中に旅行出かけることなったから』
「え!?ま、まじ!?…やった…っ……っとこほん…それ、寂しいのよーん…修二くんも家族旅行〜…」
『本当か?あ、そういえばもう一人、女の子いたじゃないか…えーっと…』
「野ブタ?」
『そう!その子に家に来てもらえ!それなら寂しくないだろ?』
「おいちゃん、頭良い!そうする!」
…って最初からそうする気満々だったけどね。
と、黒い自分がほくそ笑む。
『…手は出さないようにな』
「はいはいー」
ごめん、おいちゃん。
その約束、守れそうにない―
そして、彼女がいつもいる公園に足を向けた。
「のぉーぶーたー」
「あ…く、さの…くん…」
「明日から連休だっちゃね」
「うん…」
「野ブタ〜…俺にかまってくれませぬか?おいちゃん、旅行でいないの〜」
「…い、いいよ…わ、私も、暇だから…」
「それじゃ決定なり〜!」
見事、捕獲成功なり―
+
監禁
「草野くん…なに、してるの?」
「んー野ブタが逃げないように縛ってるのよん」
「どう、して?私は…逃げない、よ」
「ううん、逃げる。逃げたくなる」
そう言って彼は私の腕をぐるぐると制服のネクタイで巻いていく。
私を縛って何をするのか何も思いつかなかった。
「野ブタ」
『ちゅ』
私の唇が熱くなった。
彼が私にキスをしていることに気づくのに時間が掛かった。
ゆっくりと唇が離れていく。
そして彼の舌が私の唇をなぞる。
背筋が凍える。
これっていわゆる…男女の関係というものだろうか。
ああ、この年の男の子はそういうことに興味満々だと言われていたような気がする。
「草野、くん…」
「なに?」
「私、でいいの…?」
そう質問すると彼はにっこりと笑った。
いつもなら太陽な笑顔は今だけ冷たさを感じた。
「野ブタじゃなきゃ…駄目」
呟きと共にはらりと着ていたカーディガンが床に落ちた。
+
大人のおもちゃ
縛られて、彼の部屋にあるベッドへと押し倒されて、服も全部脱がされた。
胸を愛撫され、自分でも触れたことがない体の中心に綺麗な指が辿った。
私は私で信じられないような高い声で鳴いていた。
「あ…」
抵抗したくても何に抵抗したいのか今はわからない。
少なくとも彼に対しての抵抗はなくなったようだ(恐くはあるけど)
「…野ブタ…いっぱい気持ちよくしてあげる」
そう言って彼が箱から取り出したのは男性の性器の形をしたプラスチックなものだった。
「…な、に…するの…?」
「これを…野ブタのここに入れてあげるの…」
草野くんは私を見下ろしながらそれを舌で厭らしく舐める。
私は恐くて後ろに下がる。下がっても意味がないことなんて承知の上だ。
「…やっ…」
冷やりとそれが私の秘部に触れた。
プラスチックの偽性器に液が絡まり、私の心に逆らって中へと受け入れようとしている。
「野ブタ、力抜いて…」
彼の言われたとおり、力を抜こうと深呼吸した途端に器具は私の体内へ侵入した。
「や…あ…あっ…」
「ふふ、野ブタの声、可愛い…もっと聞きたい」
彼は私の乳房の突起に舌を絡めながら、私を羞恥へと追い込む。
何かのスイッチが入った。
その途端、私の中に侵入した器具が蠢き出す。
「…っ!?…あっ…な、に…?」
「これね、“バイブ”って言って一人でも気持ちよくなるおもちゃなのよーん」
そう答えた彼は私から離れて、私が一人でそれから来る感覚に耐える姿を見ていた。
彼の目線を感じないように瞼を強く閉じた。
私のことなんてお構い無しに器具はうねうねと私の体内を刺激し続ける。
「……い、や…っ…あ…!」
やがて器具は奥の一点に辿り着き、私はそれを感じた途端に意識を飛ばした。
意識が飛んだ後、私の体内から器具は自然と出ていった。
瞼をゆっくり開けると笑顔を浮かべる草野くんがいた。
「野ブタ、可愛い、すっごく可愛い」
「…ん…」
彼は私の頬に何度も何度も音を立てて口づけていく。
「今度は俺で気持ちよくなってね…」
私はぼうっとしていてその言葉の意味を理解しないまま小さく頷いた。
+
媚薬
彼女の存在自体がまるで媚薬のようだ。
彼女が見せる苦痛な表情、限界に達して意識を飛ばす表情、ぼうっとした瞳で俺を見上げる表情。
全てが愛しい。
「…んっ…んん…」
俺は彼女の股に頭を埋めて体内の入り口を愛撫し続けていた。
そこから流れる液はいくらすくっても次から次へと溢れ出す。
苦しいとか汚いとかそんなこと一切思わなかった。むしろもっと味わいたかった。
その液はとても甘美で酔わされていく。
「…やっ…あっ…」
いつもなら低音な彼女の声が今は高くて、厭らしくて、興奮させる。
「…野ブタ、ここが良いんだ?」
「あっ…!」
中に指をくい、と入れながら筋を舐めると彼女の体が仰け反った。
+
処女喪失
人間って一つになれるんだ。
体はまだ痛みを感じ続けているのに私は他人事のようにそう思っていた。
今、彼とひとつになって初めて二人に追いつけた気がした。
「の、ぶた…大丈夫?」
「だい、じょうぶ…」
心配そうに私を見る彼の瞳は綺麗だった。
彼に映る私はどう映っているのだろうか。
私と彼を繋ぐ境い目から流れる赤い血はまるで赤い糸のようで。
ああ、こんな乙女なことを考えられたんだ、私。
思わず笑ってしまうと彼は驚愕した目で私を見た。
「どう、したの…?」
「野ブタ…ちょっとそのタイミングでそんな表情されたら…」
「あ…」
体内で異物が蠢き始める。
それは先程の器具のように冷たいままじゃなくて熱を上げていく。
同時に私の体も熱くなっていく。
熱くなっているのは果たして体だけなのだろうか。
今はただ彼に身を任せることしか出来なかった。