Rain



隣人の女はただそこに佇んでいた。

傘も差さず、ただ、そこに。

自分は手に持つ傘を差し出すこともなく、その立ち姿を見ているだけだった。

また泣いているのか。

それとも、雨に濡れているだけなのか。

女の行動の意味はわからない。

普通であって普通じゃない。

ただ短く切った髪から露になった後ろの首筋に流れる雨の雫は綺麗だと思った。


「……」


ただいつまでもその濡れて立つ姿を見ていたい、と思った。

何かに悲しんでいるというのなら。

それは俺のことだといい。

そう願って、俺は足元にいる猫を抱き上げた。