刻印-しるし-


彼と二人きり…。


「ごめん、しおりに成瀬さん。今日と明日、実家の用事があって…」
「いいですよ、たまには休まないと」
「そうです、お休みなさった方がよろしいですよ」
「ごめんね、二人共」


そういうわけで私はそわそわしていた。
だって彼と二人になるってことは意識してしまうわけで。

もう、事件は終わった。
だから変な不安はない。
だけど…別の不安はある。

いつかまたどこか知らぬ間にいなくなってしまうんじゃないかって。

そう考えたらどこか印が欲しい。

『あなたと一緒にいたかった』

あの言葉が嘘じゃないって証拠を物理的にも心理的にも与えて欲しい。

そう考えていたら彼の服の裾を握っていた。

「しおりさん?」

困惑とした顔で彼は私を見ていた。
私の行動はおかしくて当然だろう。
だけど今の私にはそれがおかしいと思えなかった。

「成瀬さん…私、不安なんです」
「そう、みたいですね」

彼は歯切れ悪い口調で言った。
私の不安が何か彼は見通しているのかもしれない。
なら言ってもいいような気がする。

「また、どこかにいっちゃいそうで」
「行きませんよ。僕はあなたの側にいます」
「嘘、じゃないですよね」
「嘘じゃありません」

真剣な瞳。
以前ならそれだけで信じられた。
だけど私は欲張りになってしまった。

「それでも…不安が消えないんです」
「………」

彼は珍しく考え込んでいた。
そして、

表の体を向けて私の肩に自分の頭を置いた。

そして耳元で囁かれる。

「…証拠、が欲しいんですね」
「……はい…」





部屋の外では雨音が強くなっていた。
今日と明日は店も休みだから出入り口の鍵も閉めてある。

ベッドに二人並んで座ると、丁寧なキスを彼は施してくれた。
そして私が息を整えるとその隙間に舌を絡めて今度は激しくしてくる。
私もそれに答えようとなんとか彼の舌に自分のそれを絡めた。

ゆっくりと押し倒されて改めて問われる。

「本当にいいんですか、しおりさん」
「いいんです…」

ゆっくりと私の体に体重をかけてくる彼の体を私はそっと抱きしめた。

「もう離れないって証拠を私にください」

そう彼の目を見て私は言った。
すると彼の目は見開いて、そして口元は苦笑いを浮かべていた。




「…はっ…あ…」
「まだ、ですよ…しおりさん」

初めてとは思えないほど愛された。

「やっと…あなたに触れられる」
「あ…っ…」

彼は私の体全てまんべんなく口付けを落とし、赤い印をつけていく。
恥ずかしいところまで口付けを落とす。

「…とも、お、さん…っ…あっ…」
「まだ、です」

何度も何度も秘部の境目に舌が上下に這い続ける。
その度に秘部からは透明な液がトロトロと流れ出る。
出ると成瀬さんはそれを零さず飲み干す。
こんなに意地悪な人だとは思わなかった。
でもそれすら愛しい。

「…も、う…」
「ふふ…気絶されたら台無しですからね。力を抜いてください、しおりさん」
「は、い…」

すぅ…と深呼吸して全身の力を抜く。
すると熱を帯びたものが私の体の入り口を擦る。
やがてそれは入り口を開いて入り込む。

ぴり、と痛みを僅かに感じたが力を抜いていたおかげか思った以上痛みは来なかった。

「しおりさん、大丈夫ですか?」

彼も私の体内の狭さに痛みを感じているのに私を気遣ってくれている。
嬉しくて涙がぽろり、と流れる。

「大丈夫、です…」

私が微笑むと彼も微笑んでくれた。

やっと繋がった。

ずっと長かった。

待っていた気がする。

「やっと…繋がった」

無意識に伸ばした手は自然と彼の大きな手に受け止められた。

「しおりさんも…立派な犯罪者ですね…」
「え?」
「芹沢くんにも見せつけてやりたいです」
「え、ええ…」
「嘘ですよ。見せてあげません、僕だけの特権ですから」
「友雄さんって意外と意地悪な人ですね…」
「今頃気づきました?僕は意地悪ですよ」
「ん…っ…!」

彼が私の胸元に、かりっと噛み付いて赤い印が出来た。

「今日であなたを僕のものですよ」

彼は、だから、と言って自分の胸元を指差した。

私はそっと唇を寄せた。
綺麗だから強くは噛めないけどこれで彼も私のものになるなら。

軽く噛んで赤い印を作った。


「これで、僕もあなたのものです」